初老のボケ防止日記

おっさんのひとりごとだから気にしないようにな。

オッサンがBluetooth接続の遅延をヘッドホンで聴き比べしてみたら

最近とあるドラマが見たくてHuluに加入したんだけど、タブレットで動画で見る時は、Bluetooth接続のヘッドホンだとコードが邪魔にならないので寝っ転がてみるのが快適でTVを家族に占有されても全く問題がない毎日である。

Bluetooth接続のヘッドホンを以前から愛用していて、気軽に音楽を楽しむ時は愛用スマホとこのヘッドホンで音楽を楽しんでいる。今使っているタブレット(スマホ)とBluetooth接続するヘッドホンは両方「aptX」に対応しているので音質も満足してるし、動画を視聴する際の音声遅延も実は意識したことがない位気づいてなかったんだけれど、TwitterでBluetooth接続で動画視聴すると音ズレが目立つというツイートを見かけたので実験してみることにした。

BluetoothとかaptXってなに?

知らない人向けの説明なので、知ってる人はスルーだ。

Bluetooth

Bluetooth - Wikipedia

Bluetooth(ブルートゥース、ブルーツース)は、デジタル機器用の近距離無線通信規格の1つである。

無線LANの「Wi-Fi(ワイファイ)」と同じような通信規格のこと。「Wi-Fi」が利用できると明記されている機器同士なら、メーカーが異なっても無線通信できるのと同じように、「Bluetooth」と明記されている機器同士なら無線通信できる*1。でも、Wi-Fiと違うところはBluetoothにはさらに"プロファイル(Profile)"というものが明確に決められており、それに対応した機器同士を繋がないと動作しないという点だ。

Bluetoothはその特性上、様々なデバイスでの通信に使用される為、機器の種類ごとに策定されたプロトコルがあり、それらの使用方法をプロファイル (Profile) と呼び標準化している。 通信しようとする機器同士が同じプロファイルを持っている場合に限り、そのプロファイルの機能を利用した通信をおこなえる。 代表的なものに以下のプロファイルがあり、Bluetooth対応機種であっても利用する機器の双方が適切なプロファイルに対応している必要がある。

正直ややこしいよね。世間一般的に使われるプロファイルは以下のもの。

プロファイル名 Bluetooth機器
HID (Human Interface Device Profile) マウス,キーボード,ゲームコントローラ
AVRCP (Audio/Video Remote Control Profile) リモコン
A2DP (Advanced Audio Distribution Profile) ヘッドホンやスピーカー

一昔前はBluetooth機器と言えば、PCのマウスとキーボード位だったけれど、最近のゲーム機(Wii/Wii UとかPS3/PS4)のコントローラや、SONYの一部のTVのリモコンはもうBluetooth接続なんだよね。で、今回はヘッドホンを使うので「A2DP」というプロファイルにBluetooth接続させる両方の機器が対応している必要がある。

A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)

Advanced Audio Distribution Profile - Wikipedia

A2DPでは、モノラルもしくはステレオの音声データを、ACLチャンネル上に高品質にストリーミング配信するための手順や、使用する他のBluetoothプロファイル・Bluetoothプロトコルなどが定義されている

Bluetooth接続した機器同士で音声データを送信・受信するための手順を決めたものが「A2DP」。今回の場合は、音声データを送信する側の「タブレット」で音声データを受信して再生するのが「ヘッドホン」ということ。ストリーミング配信とか難しい言葉を使っているけど、無線で音を飛ばしているという話。

加えて、重要なのがBluetoothの通信でどうやって音を流しているのかということ。これは以下の西田さんの記事がとてもわかりやすい。

http://getnavi.jp/1256
http://getnavi.jp/1260
http://getnavi.jp/1265

A2DPは通信の手順を司るものであり、音をどういう方式で圧縮して伝えるか、はまた別のこととなる。どういう圧縮方式=コーデックを使っているかで、音質は変化していく。

A2DPで音を飛ばすにしても、圧縮方式(コーデック)によって音質が変わるのだ。コーデックもA2DPでBluetooth接続させる両方の機器が対応している必要がある。しかも、コーデックで変わるのは音質だけではない。

Bluetoothで音を聞きながらゲームをしたりワンセグ放送を見たりすると、ごくわずかに「音が遅れる」感じがすることがある。これは、Bluetoothで音声を送るために再度デジタル化する際にかかるわずかな時間が問題となるためだ。特に、Bluetoothで一般的に使われているコーデックであるSBCは、再デジタル化に伴う遅延時間が長い。SBCでは170から270ミリ秒、すなわち最悪の場合、4分の1秒弱も遅延してしまう。これでは、口パクと音がずれるのもしょうがない。

はい、ここでようやく遅延来ました。

この点で高い評価を受けているのが「aptX」だ。aptXは低遅延を特徴とするコーデックで、再デジタル化に伴う遅延が60ミリ秒から80ミリ秒と、SBCに比べ格段に小さい。aptXに対応している機器は「高音質」と言われることが多いが、実は遅延の面でも有利になっている。

はい、さらにaptX(アプトエックス)来ました。

aptXについての詳しい説明は以下で。

http://www.csr.com/ja/products/aptxwww.csr.com

整理すると、以下の条件を満たす機器同士ならばBluetooth接続でも遅延は少ないということになる。

  • 音楽/映像コンテンツを再生する機器(送信側)と音を出力する機器(受信側)がBluetoothに対応している
  • 両方の機器がBluetoothの"A2DP"プロファイルに対応している
  • 両方の機器が"aptX"のコーデックをサポートしている

ということで、いよいよ実験スタートです。

使用機材

今回利用する機器はこちら。

機器 役割
タブレット 音楽/映像コンテンツを再生する機器(送信側)
ヘッドホン 音を出力する機器(受信側)

タブレットで動画を再生して、Bluetooth接続したヘッドホンで音を聴くということです。

タブレット

www.sony.jp

このタブレットは「aptX」対応。

ソニー Xperia Z3 Tablet Compact SGP611 ホワイト

ソニー Xperia Z3 Tablet Compact SGP611 ホワイト

ヘッドホン

www.sony.jp

このヘッドホンはコードをつなげば有線接続のヘッドホンにもなるし、Bluetooth接続時には「aptX」対応にも対応している。また、モード切り替えをすると「aptX」を使わないモードにも変更ができる*2

| 音楽再生時の音質モードを切り換える | ヘルプガイド

接続パターン

タブレットとヘッドホンを以下の3パターンで接続して試してみる。

パターン 接続 遅延(ミリ秒)
A ケーブル接続 ないはず
B Bluetooth接続(SBC) 220ms(±50ms)
C Bluetooth接続(aptX) 70ms(±10ms)
  • SBCはA2DPで必ずサポートされるコーデックだが、Bluetooth接続で一番遅延が大きいとされる
  • 遅延はあくまで理論値なので2.4GHz*3無線環境によって大きく異る
  • Bluetooth接続の遅延の出典は以下サイトのものを記載

実験で検証! Bluetoothコーデック「aptX」はなぜ高音質で低遅延なのか? (1/3) - PHILE WEB

パターンA

f:id:osa030:20150708000825j:plain

ちなみにこのヘッドホンはケーブル接続するとハイレゾも聴けるんだぜ。

パターンB

f:id:osa030:20150708000839j:plain

Bluetooth製品に青色LEDの物が多いのはBluetoothというネーミングのせいか。

パターンC

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XperiaはaptXで接続されると表示される。(写真は同じヘッドホンをZ3CにaptX接続した時のもの)

動画を見てみる

本当はDVD等の製品をコンテンツとして再生すべきなんだろうけど、タブレットなのでDVD再生できません。また、私物のDVDやBlu-rayをmp4等の動画ファイルに変換することも法的にアウトなので、ここは自らの手を汚さずにYoutube動画で試すことにした。アップロードされた元動画が映像と音声の同期がずれているかもしれないけど、

ハイレゾの違いもわからないオッサンなんだから、細かい所は聞き流すように。

osa030.hatenablog.com

よーし聴き比べだ。各動画をパターンA,B,C,Aという順でヘッドホン接続して聴き比べてみた。

先鋒「BBC HD audio sync test」

Youtubeで音声同期でぐぐってでてきたもの。アップ前の動画はBBCで映像/音声の同期チェックに使われるのかな?

www.youtube.com

音ズレが体感できるか
  • ケーブル接続

実はケーブル接続でもオッサンの耳と目では毎回"AUDIO LATE"の目盛が1と2の間位で音が聴こえる。ただ、最後までそれがずれることはないので音ズレじゃなくて基礎のリズム感がずれてるんだろう。

  • Bluetooth接続(SBC)

最初の数秒は違和感がないんだけど、段々ずれていく。最後は"AUDIO LATE"の目盛が5と6の間位で音が聴こえる感じ。

  • Bluetooth接続(aptX)

これは途中まではあまり音ズレは感じることはない。でも最終的には"AUDIO LATE"の目盛が3と4の間位で音が聴こえたような。

感想

30秒位だと正直気付かないかなあという感じだっただけど、単調なリズムで映像と同期しているので、長時間続くと段々ズレが大きくなって流石にオッサンでもわかるな。これはaptXでも音ゲーとかタイミングがシビアなゲームをプレイするのは厳しいのではないか。

ゲームをやらなければ問題ないけど。

  • BBCの素晴らしい映像とアッテンボローのナレーションが夢の世界に誘ってくれます(違う意味でも)

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次鋒「Mike Portnoy - Drum Solo / Testing New Drums」

次は楽器演奏だろうということでYoutubeでドラム演奏を探して発見したもの。

www.youtube.com

音ズレが体感できるか
  • ケーブル接続

全くわからない。ケーブル接続だから当たり前ですよ。しかし太鼓の数が多いこと。

  • Bluetooth接続(SBC)

わかるといえばわかる。例えるなら、Mステでジャニーズアイドルが演奏している感じ。でもここまで派手に当て振りできたら逆にすごいという印象。

  • Bluetooth接続(aptX)

正直わからない。例えるなら、Mステで本人達が演奏している感じ*4

感想

楽器をちゃんとやってる人ならわかるのかな。昔ギターをかじった程度のオッサン的には音と映像の同期より手数が多くて演奏すげーと目が奪われてしまったのでaptXなら特に問題はない。

ドラムセット破壊するだけなら全く問題はない。

  • マイク・ポートノイが在籍してる「The Winery Dogs」もオススメ。

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中堅「Best scene from Pulp Fiction - Samuel l Jackson」

次はいよいよセリフだ。なるべく長台詞で早口なものが良いと思ったのでコレしか思いつかなかった。

www.youtube.com

音ズレが体感できるか
  • ケーブル接続

ない(早口すぎ)。

  • Bluetooth接続(SBC)

わからない(日本語じゃないから口パク感は正直わからない)。

  • Bluetooth接続(aptX)

わからない(サミュエル、具志堅用高っぽい)。

感想

日頃から洋画は字幕で見るので口の動きと音声がずれていてもあまり違和感がないのである。えー、じゃあ、邦画にすればよかったじゃん。というツッコミがあるだろうけど、実は我が家は基本TVを見るのは子供が寝静まった後なので日本のドラマや邦画、アニメでも字幕を付けてみる習慣があるのだ。つまり、

字幕で見る人にはまったく関係がない。

  • タランティーノと言えばこっちもオススメ

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余談であるが実はもうHuluで「外事警察」を全部見たけど渡部篤郎の滑舌じゃまったく気付かなかったのは内緒だ。

  • この男に騙されてもいいわ

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副将「The Matrix Lobby Scene High Quality」

セリフの次は銃撃シーン。デ・ニーロのHeatと迷ったけど、コレにしました。

www.youtube.com

音ズレが体感できるか
  • ケーブル接続

ない(この頃のキアヌが一番格好いい)。

  • Bluetooth接続(SBC)

わからない(トリニティもかっこいい)。

  • Bluetooth接続(aptX)

わからない(コート長すぎるね)。

感想

これくらいの連射の銃撃戦なら正直分からない。後ろでBGMが流れているせいかと思ったけど、銃撃戦の合間の格闘の打撃音やエレベータの音とかも全然気にならない。

  • 三部作なのに第一作以外記憶にないのはエージェントに消されたのか

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  • キアヌ・リーブスの代表作といえば

ビルとテッドの大冒険 [Blu-ray]

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大将「いっこく堂」

https://www.youtube.com/watch?v=Vo8TYpg4nMkwww.youtube.com

音ズレが体感できるか
  • ケーブル接続

おかしいぞ、ケーブル接続なのに声が遅れて聞こえる。

  • Bluetooth接続(SBC)

もちろん声が遅れて聞こえます。

  • Bluetooth接続(aptX)

やっぱり、声が遅れて聞こえます。

感想

いっこく堂は無理。

  • どっちがパクったんだろうというタイトル

所感

無線通信というのは、電波状態や接続機器同士の相性とかに左右されることが多いものだと個人的には思っているのだけど、我が家はWi-Fiは5GHzをメインで使っているし、今回の使用機材もSONY同士なのでそこら辺は結構よい条件だったんではないかと思っている*5。また、普段から視聴しているコンテンツの種類(実写/アニメ)やジャンルによって体感も異なってくると思うし、何気に普段の視聴方法(字幕使うかどうか)が一番影響あるんじゃないかなと思った次第。
オッサンは普段からゲームもしないしTVも字幕で見る生活スタイルなので、今回見た限りでは世間一般的に言われるほどの遅延を感じることはなかった*6。ということで、手持ちの機器がaptXに対応しているのであればaptX対応機器同士でBluetooth接続させて映画やドラマを気軽に視聴する分には問題がないと思う。

aptXなら、オッサンには遅延は体感できま遅延

補足

最後に、aptXはさらに低遅延な「aptX Low Latency」というものが登場したらしい。

http://www.csr.com/ja/products/aptx-low-latencywww.csr.com

冒頭の説明で記載した通り、接続機器同士が両方「aptX Low Latency」に対応してないといけないので購入の際には注意しよう。なお、ハイレゾ推しのSONY謹製コーデック「LDAC」は遅延よりも音質をとったものっぽいので音楽再生はいいけど、動画視聴は察したほうがいいかもしれない*7

www.sony.co.jp

  • Hulu加入した理由

www.hulu.jp

*1:といいながらWi-FiもBluetoothも相性はあるよね

*2:出荷時にaptXが無効なのが謎だ

*3:Wi-Fiとか電子レンジとか

*4:あれは生演奏じゃないんだよね。

*5:機器によって無線出力も全然違う。前のSHARPのスマホは少し離れるとノイズが乗ったりしたけど、SONYにしてからそれはなくなった

*6:あまりにも違いがわからなくて2日間連続で計5セットも視聴したからもう目がショボショボしてるよ...

*7:音質ばかり強調して遅延についての情報があまりない時点で