軽さをとるか性能をとるか悩ましい。
年明け頃から現在会社で使用しているPCをそろそろ買い替えようと思いつつも、実際のところ業務に支障を来すほどの不満がある訳でもないので使い続けていたのだが、Windows10を「Creators Update」に更新してから、何となく以前よりも動作が重くなった気がしてきた。具体的にはVMを起動して作業している時なのであるが、近年は開発の殆どをVM上で行っているのでこれはちょっとまいっちんぐ。
てな訳でこれを機会に本格的に新しいPCに切り替えようと探してみたものの、自分の希望と予算を満たせるブツは現状ThinkPadシリーズしか見つからなかった。
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実は、社会人になって初めて購入したPCがIBM時代のThinkPadなのである。OSは一世を風靡したWindows95、インターネットはダイアルアップ接続でフロッピーディスクというリムーバブルな記憶装置がついており、新入社員の身としてはそれなりの金額だった気がする。
それに比べて今時のPCときたらメモリは16GB搭載されていたり主記憶装置はHDDではなくSSDだったりしてそれはもう著しく進化を遂げたのであるが、価格はむしろ当時よりも安い。そんな中年男性の感想はどうでもいいのでThinkPadシリーズのうち、以下の2機種に候補を絞った。
ThinkPad X1 Carbon(以下、X1C)
ThinkPad T470s(以下、T470s)
なんでこの2機種をチョイスしたのかというと、戦闘能力と機動力のバランスが優れているからである。ここで言う"戦闘能力"とはPCのスペックである。近年、ソフトウェア開発の環境に求められるPCの性能は随分と厳しくなっており、最低でもメモリ16GBはないと人権侵害と訴えられる世の中であるらしい。実際に今回買い替えを決意したのは今迄のPCに飽きたからの性能に不満がでてきた為であり、ある程度の性能は譲れなかった。くわえて、基本的に開発作業は社内で行っているのであるが、時には客先に出かけて作業したり自宅で作業することもあるので、持ち運びやすさ、即ち"機動力"も重視したかった。機動力と言ってもただ軽いだけではなく、満員電車で押しつぶされても壊れることのない堅牢性も兼ね備えたものである必要があった。そんな要件を満たしたのが「X1C」と「T470s」なのであるが、どちらも甲乙つけがたく、どちらを購入対象とするか決め兼ねたので冷静に比較することにした。
スペック
「X1C」と「T470s」は共に14インチのモバイルノートというカテゴリに属するので、スペック上似たような部分が多いのであるが、ここでは違いがある部分だけピックアップして比較することとした。
サイズ・重量
フットプリント
項目 | X1C | T470s | 差 |
幅 | 323.5mm | 331mm | 7.5mm |
奥行き | 217.1mm | 226.8mm | 9.7mm |
高さ | 15.95mm | 18.8mm | 2.85mm |
重量
項目 | X1C | T470s | 差 |
質量 | 約1.13kg~ | 約1.32kg~ | 190g |
「T470s」のほうが「X1C」よりも一回り大きく、若干重い。かといって「T470s」が持ち歩くには気が重いサイズであるかというと、14インチという大きさからすると軽量な部類に入るのではないだろうか。重量の差は"190g"となるが具体的にはコレ1本分である。
この"190g"がどれだけ重要なのかは持ち運ぶ機材の量にもよるのだが、個人的には仕事中はPC以外に持ち運ぶ機材は多くないし、持ち運ぶ頻度もそれほどではないので許容できる範囲であると考えている。
メモリ
項目 | X1C | T470s |
規格 | LPDDR3 SDRAM | PC4-17000 DDR4 SDRAM |
最大容量 | 16GB | 24GB |
スロット数 | 0(オンボード) | 1 |
最大容量の違いに目を奪われがちであるが、メモリ規格が「LPDDR3」と「DDR4」と異なる点は注目すべき部分である*1。「LPDDR3」は省電力性に優れているが「DDR4」のほうが転送速度は高速である(はず)。「X1C」がバッテリー駆動時間を重視したのに対して「T470s」は最大容量含め性能を重視したということなのであろう。
ディスプレイ
X1C
- LED バックライト付 14.0型 FHD IPS液晶 (1920×1080)、光沢なし
- LED バックライト付 14.0型 WQHD IPS液晶 (2560×1440)、光沢なし
T470s
- LED バックライト付 14.0型 FHD IPS液晶 (1920×1080) マルチ・タッチパネル(10点)
- LED バックライト付 14.0型 FHD IPS液晶 (1920×1080)、光沢なし
- LED バックライト付 14.0型 WQHD IPS液晶 (2560×1440)、光沢なし
調査当初は「X1C」は"現時点でWQHDディスプレイモデルは後日発売予定"とTOPページに記載されていたので現状はFHDディスプレイモデルのみかと思っていたが、カスタマイズで選択するモデルによっては既に選択可能なようだ。
だからと言ってWQHD (2560×1440)は初老の目には厳しく、画像や動画を扱うクリエイティブ系ならともかく文字情報中心のエンジニアならば素直にFHDをチョイスしてより大きなサイズの外部モニタを使うほうが効率的であろう。マルチ・タッチパネルに至っては使ったとしても最初の3日位であろうからガン無視*2。
インターフェース
X1C
- USB x2 (USB 3.0 x 1、 Powered USB 3.0 x 1)
- USB Type-C x 2(DC-in、Thunderbolt3、Video-out機能付き)
- HDMI x1
- RJ-45(同梱のThinkPad ネットワークアダプタにて対応)
- マイクロフォン・ヘッドフォンコンボジャック
- microSDメディアカードリーダー
T470s
- USB x 3 (USB 3.0 x 2、 Powered USB 3.0 x 1)
- USB Type-C x 1(DC-in、Thunderbolt3、Video-out機能付き)
- HDMI x1
- RJ-45 x1
- マイクロフォン/ヘッドフォン・コンボ・ジャック
- ドッキングコネクター
- 4 in 1メディアカードリーダー
- スマートカードリーダー(カスタマイズによる選択)
「X1C」は必要最低限のみで「T470s」は充実している。言い方を変えると「X1C」はミニマリストスタイルであり、別途「ThinkPad USB Type-C ドック」を購入することで拡張性という名の自由の翼を手に入れることができるが、その分プラスアルファの出費なオシャレさん。「T470s」はオシャレとはいい難いが何から何まで全て網羅している機能性重視スタイルという感じだ。
バッテリー
項目 | X1C | T470s |
パック | 3セル | 3セル+3セル |
駆動時間(最大) | 約15時間 | 約11.1時間 |
充電時間(パワーOFF時) | 約2.4時間 | 約5時間 |
「T470s」のほうが搭載バッテリーのセル数が多いのに駆動時間が短いのは、恐らくメモリ規格の違いなのであろう。なお、「X1C」は急速充電の機能を使えばわずか1時間で電源容量の80%の充電が可能らしい*3。
その他「X1C」の特徴
- 本体カラーをシルバー選択可能
- 米沢生産モデルあり(2017/6/20時点では一時的に受付停止)
- 内蔵カメラをIRに変更すれば「Windows Hello」が利用できる
ということで
開発目的で考えると「T470s」なのであるが、お洒落具合で「X1C」も捨てがたい。
価格
今度は同一構成で価格を比較してみる。
項目 | X1C(※1) | T470s(※2) |
CPU | Core™ i7-7600U | (同左) |
OS | Win10 Home 64bit | (同左) |
MS Office | なし | (同左) |
ディスプレイ | 14.0型FHD液晶 | (同左:タッチ非対応) |
メモリ | 16GB(オンボード) | 16GB(8GBオンボード+8GB(1スロット使用)) |
HDD | 256GB SSD PCIe-NVMe | (同左) |
WLAN/BT | Intel Dual Band Wireless-AC 8265/Bluetooth 4.1 | (同左) |
WWAN | なし | (同左) |
キーボード | 日本語(バックライト) | (同左) |
カメラ | HD 720p対応 | (同左) |
NFC | なし | (同左) |
販売価格 | ¥282,960 | ¥246,240 |
※1「<100台限定!>ThinkPad X1 Carbon:高性能キャンペーンパッケージ」を選択
※2「<100台限定!>ThinkPad T470s:高性能キャンペーンパッケージ」を選択
販売価格はクーポン未適用のものなので、これがそのまま販売価格だと思ってはいけない。購入時にクーポンを適用すれば機種に応じた割引が適用されるので実際はかなりおトクな値段になっている。少なくとも同じ予算であれば他のメーカーよりもワンランク上の構成を選択できてしまうのがLenovoの恐ろしいところである。
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クーポン適用後も「T470s」よりも「X1C」のほうが高いのは同じであるが、
割引前と比べて価格差が一気になくなったのでさらにまいっちんぐ。