スマホを変えたらBluetoothイヤホンの途切れ具合が変わりました
其の謎を解くために我々はアメリカに飛んだ。
先日購入したBluetoothレシーバー。
購入後は通勤時に毎日使っているのだけれども、スマホを変えたら
前よりも途切れにくくなった。
勿論、全く途切れないことはないのだが、スマホ変更前と後では頻度がだいぶ違う上に、以前のスマホはズボンの尻ポケットだとほとんど使い物にならなかったのに新しいスマホでは混雑する場所以外では問題ない。
恐らくスマホの機種によってBluetoothの電波の出力が違うのだろう位の気持ちでいたのだが、新しいスマホである「AQUOS sense2(SH-M08)」の説明書を読んでいたらちゃんと最大送信出力が「+12.5dBm」と書いてあった。
普通はスマホの製品ページにはClassまでしか記載がなく、スマホは大抵「Class1」なので違いが見えにくい。こういうのは各製品にちゃんと明記してもらいたいのだが、今回のAQUOS sense2のように書いてるほうが稀であり、前のスマホ「AndroidOne X2」の説明書にも当然記載がない(兄弟機であるHTC U11 lifeも同様)。
Bluetoothも日本国内で利用するには技適(技術基準適合証明)が必要であるので、技適の情報を検索すればなにか明記があるのではないかと閃いて探してみたものの適合を証明したエビデンスとなる添付資料は見つけることが出来なかった。仕方がないので米国のFCC(連邦通信委員会)の情報を検索してみること。
日本国内でWi-FiやBluetoothを含む通信機器を販売するには技術適合証明(技適)を取得する必要があり、その認可は総務省が行っている。同様に、米国内では通信や電波の利用を管理するFCC(Federal Communication Commission: 連邦通信委員会)の認証を取得する必要がある。認証をパスした通信機器にはFCC IDという番号が付与され、国内で売られているスマホも大抵はFCC IDを持っている。FCCの登録情報は技適以上に公開情報が多いので試しに「AQUOS sense2(SH-M08)」のFDD ID"APYHRO00266"で検索してみたら
それっぽいのがありました。
Bluetoothの送信出力の探し方
端末のFCC IDを調べる
技適などと同じ認証番号が記載された辺りに書いてあるので実物を持っている場合はそれですぐにわかるはず。持ってない機種は「型番 FCC ID」で検索すると結構ヒットする(これは新モデルは当然発売前にFCC認証を通す必要があるのと、それをチェックすることで新モデルの販売情報を報じる記事が多い為)。
FCCの情報からSARのレポートを探す。
以下のページを使う。
検索フォームに以下3項目を入力して「Start Search」する。
項目 | 入力値 |
---|---|
Grantee Code | FCC IDの先頭3文字 |
Product Code | FCC IDの残り |
Frequency Range in MHz | ”2402” to ”2480”と入力 |
検索結果が「Lower Frequency In MHz」が"2402"、「Upper Frequency In MHz」が”2480”の結果の"Detail"をクリック。複数ある場合は、クリックした先の「OET Exhibits List」というページに「Exhibit Type」が”RF Exposure Info”という行があれば正解。あとはその左の「View Attachment」リンクから添付文書を開けばBluetoothに関する情報が記載されている。
探してみた
機種 | FCC ID | View Attachment |
---|---|---|
AQUOS sense2(SH-M08) | APYHRO00266 | SAR Report |
AndroidOne X2 | NM8X2-HT | SAR report Rev01 |
iPhone XR | BCG-E3238A | SAR test report 1 of 10 |
iPhone XS | BCG-E3233A | RF exposure 1 of 10 |
iPhone XS Max | BCG-E3235A | SAR test report 1 of 10 |
Google Pixel3 | A4RG013A | G013A_FCC SAR Report_v02 |
Google Pixel3 XL | A4RG013C | RF Exposure Info._20180717_v1 - A4RG013C_TestRpt_RFExp_20180718 |
SONY Xperia XZ3(SO-01L) | PY7-12644J | Report_SAR |
iPhoneは日本モデルとグローバルでFCC IDが異なるらしく、下記サイトを参考にした。
Pixel3もその可能性があったのだが、とりあえずググって出てきたIDで検索。docomoのスマホは以下ページの該当機種のPDF内に記載があった。
携帯電話の比吸収率(SAR)について | 製品 | NTTドコモ
AQUOS sense2(SH-M08)
説明書のスペックと同じ”12.5dBm”。
AndroidOne X2
これを見る限り、最大9dBmっぽい。つまり、AQUOS sense2のほうが送信出力が強いので機種を変えたら途切れにくくなったという理由になりそうだ。
iPhone XR
興味本位でiPhoneも見てみたら面白いことにより細かい条件が書かれていた。これによると、Wi-FiとLTEのON/OFFで出力が異なるとのこと。よくよく考えてみるとWi-FiとBluetoothは同じ2.4GHzの電波なので干渉するのか。いや、そもそもスマホの場合はアンテナ自体を共有してそうだ。
iPhone XS
同上。
iPhone XS Max
同上パート2。しかし同じiPhoneでもモデルによって若干の差異があるのはボディサイズとかアンテナの配置とかの影響なんだろうか。
Google Pixel3
GoogleもWi-FiとLTEのON/OFFで2パターン。ただし、両方ONでも片方ONでも変化せず。
Google Pixel3 XL
同じPixel3でもXLはWi-FiとLTEのON/OFFでも同一。Pixel3シリーズの値はただの最大送信出力の可能性。
SONY Xperia XZ3(SO-01L)
SONYもSHARPやHTCと同様にWi-Fiとかの条件はない。しかし各社で統一しなさいって…。
所感
スマートフォンによってBluetoothの送信出力が異なるのは確かなようだ。ただ、測定条件が各社で異なるので一概に数値だけで比較すればいいってものでもなさそう。
ただ、現状途切れがちで困っている人は外出中はWi-FiをOFFにしたら機種によっては改善されるかもしれないので、試してみるといいかもしれません。