初老のボケ防止日記

おっさんのひとりごとだから気にしないようにな。

リフォームの見積もりをしてみた

マイホームを購入してはや十数年。入居当時はピカピカだった我が家も子供たちの成長と共に増えた傷が随分と目立ってきた。フローリングの細かい傷や水道のパッキン交換などは自力でなんとかできたものの"間取り変更"となると流石に素人では難しい。そもそも「マンションの"間取り変更"ってできんの?」という話であるが、マンションは完成前に販売開始されるのが一般的で、早期購入特典として本来のプランで提供される間取りを無料で変更してもらえる場合がある。
例えば、4LDKで販売されているのをひと部屋潰してリビング大きめの3LDKにするとか。たしかに子どもが小さい頃は子供部屋なんて使わないし広いリビングとか憧れちゃうよねウフフ、しかも無料でやってもらえるなんてラッキー、とかついつい話に乗ってしまいがちである。

残念なことに、自分達もそういう話にすぐ乗っかってしまうタイプなので、子供の成長に伴って元通りに部屋を戻すようリフォーム業者に見積もりをとることにした。といっても、今まで自分でリフォームを頼んだ経験はないし、メディアで悪徳リフォーム業者に騙された話ばかり見ていたのでどこに頼めば失敗しないのかもわからない。
仕方がないので、ネット上の一括見積もりサービスに依頼を投げ、3社紹介して無料見積してもらうことになったのだが見積もりに来た各社担当者が三者三様で印象的であった。


それぞれの業者をA社、B社、C社と呼ぶこととする。

まず、最初に来たのがA社。社名は聞いたことがなかったが、後で調べてみたらリフォームだけで25年以上続けてきた会社らしい。見積もりに来てくれた担当者は二級建築施工管理技士の高齢な方であったので、心の中で「お爺ちゃん」と命名。お爺ちゃん、年齢的に何を言っているのか聞き取りにくい上に、こちらの質問に対してどこまで理解しているのかわかりかねる回答をしてくるので正直「あ、こりゃないわ」というのが第一印象であったのだが、壁や床を調べる手を見ると指先だけが異様にデカい。また、会話の節々から恐らくは長年現場で仕事をしてきた方なのだろうという雰囲気が感じられ、最終的にはお爺ちゃんから「棟梁」へ昇格した。 ただ、年齢的にスマホの扱いは苦手なようで現場の写真撮影はかなり手間取っていたのが印象的だった。

次に来たのがB社。地元新聞広告によく入っているいわゆる地域密着型のリフォーム会社だ。見積もりに来てくれた担当者は名刺にこれと言った肩書もなく、見た感じも典型的な営業という感じの中年男性だったので心の中で「THE・営業」と命名。THE・営業、こちらの質問についても特に噛み砕くこともなく実に薄っぺらいトークを展開してくる上に、棟梁と比べると実にあっさりとした現地視察をしてくれた。工事規模からして正直旨味がないのはわかる、でもそういうところが思いっきり相手に伝わってるからお前はTHE・営業なんだぞ、と言いたい気持ちを抑えてせっかく見積もりに来てくれたのだからと気を遣い話を振ってみたのだが、やっぱり内容が薄い。なお、妻の事前の調べによれば会社のブログが面白いらしい。ただ、内容は全くリフォームに関係がないらしいのでそういうとこだぞと思った。

最後に来たのがC社。A社同様に社名は聞いたことはなかったが、唯一見積もり前に電話でアポ確認をしてきた会社である(他の会社は一括見積もりサービスからのアポメールのみ)。担当者はとても印象がよい方で質問の仕方から説明まで全てが理論的だったので「リケオ(理系男子)」と命名。リケオ、名刺の肩書に"二級建築士"とあった通り、専門職らしい現場視察をしてくれたのだが、工事の仕上がりは当然ベストは尽くすが担当の腕次第で随分と変わるという若干後ろ向きな発言も印象的だった。

3社の現場視察を終えた後、妻と第一印象を語り合ったがこの時点で「B社はないよね」と意見が一致。専門職と同列に比較すること自体可哀相であるが、すべての面において信用がおけなかった。売上第一の営業としては工事金額的にもやる気が出なかったのだろうが、たとえポーズであっても顧客の心に訴えるセールストークをして欲しかったところである。ひょっとしたら今回の依頼が"壁を作る"という、キッチンやお風呂の交換といった取扱製品と価格でアピールするタイプの内容でなかったので余計に分が悪かったのかもしれない、など色々と考えてみたが結局の彼自身の能力がイマイチなのとそういう薄っぺらい営業で人海戦術するような会社も顧客を大事にしないであろうからお願いしなくてよかった。

残るA社とC社については、甲乙つけ難いところであるが、個としての"棟梁"か組織としての"リケオ"かというところである。"棟梁"の説明は理論的とは言いがたかったものの、自分の経験を元にしたと思われる工事イメージを具体的に説明してくれたので妙に説得力があった。また、会話からも人柄の良さが伺え、この人に任せたら安心だなと感じさせてくれた。ただ、高齢(恐らく70は超えてそう)や肩書(課長)から、A社に発注した場合に必ずしも"棟梁"が現場を管理してくれる保証はない。一方、"リケオ"は若干後ろ向きな発言が目立ったものの、それは彼が正直であることの裏返しに思えた。マージンを大きくのせれば工事担当者の腕が多少ブレても仕上がりの品質は担保できるが工事費は増えてしまう。金額が高ければ他社に持っていかれる可能性が高いが、相手が想定している品質を確認した上で若干のマージンを設定して金額内でベストを尽くすというのは自分も見積もりでよく使う手法であった。これぞ「○○君って最初は怖い人かと思ってたんだけど、実はとっても優しいんだね」作戦である。

最終的には見積額も含めて判断するつもりだが、どこの業界でも似たようなタイプが存在するのだなと思わせられた一日であった。