【令和最新版】家庭内おひとりさま向けホームシアターをつくろう
過去に”家庭内おひとりさま向けホームシアター”こと”俺シアター”を作ろうと色々と試してみたものの、現在まで継続利用するには至っていないのだが、先日「空間オーディオ」を体験したことにより再び”俺シアター”熱が高まってきた。
osa030.hatenablog.com
osa030.hatenablog.com
今回は「空間オーディオ」を使った”家庭内おひとりさま向けホームシアター”の構築方法についてまとめてみた
「空間オーディオ」とは
空間的な広がりのある音響効果をイヤホンやヘッドホンで体験できるようにしたAppleのテクノロジーのことを「空間オーディオ(Spatial audio)」と呼ぶ。本来、そのような音響効果を体験するには映画館に足を運ぶか自宅にホームシアターシステムやサラウンドヘッドホン等の専用機材を導入する必要があったのだが、特別な専用機器を必要とせず実現できるのが特徴だ。なお、「空間オーディオ」は音楽再生でも適用されるのだが、個人的に全く食指が動かないのでそちらについては本記事では取り上げない。
材料(必要なもの)
「空間オーディオ」の体験に必要なものは次の3つ。
- 空間オーディオ対応の動画再生機器
- 空間オーディオ対応のイヤホン・ヘッドホン
- 空間オーディオ対応の動画コンテンツまたは配信サービス
1. 動画再生機器
Appleのサポートページ「AirPods や Beats で空間オーディオを体験する」によると、「空間オーディオ」に対応している製品は以下のものとなる(2021/12時点)。
- iPhone 7 以降または以下に該当するモデルの iPad:
- iPad Pro 12.9 インチ (第 3 世代) 以降
- iPad Pro 11 インチ
- iPad Air (第 3 世代) 以降
- iPad (第 6 世代) 以降
- iPad mini (第 5 世代) 以降
- iOS または iPadOS 14 以降
- tvOS 15 を搭載した Apple TV 4K
- MacBook Pro (2021 年に発売されたモデル)
つまり、
Apple製品(😅)。
なお、iOS(iPadOS)14以降にアップデートできる製品であっても対象外となっている機種があるので注意が必要だ。
"俺シアター"向けに新たに機器を購入する場合は、iPhoneより画面が大きく場所に縛られずに利用できる「iPad」が本命だが、占有できるPCモニターやTVを所有している場合は「iPad」よりも導入コストが安い「Apple TV 4K」もオススメだ。
2. イヤホン・ヘッドホン
同じくAppleのサポートページによれば「空間オーディオ」に対応しているイヤホンとヘッドホンは
- AirPods Pro、AirPods Max、AirPods (第 3 世代)、または Beats Fit Pro
「Beats」はApple傘下なので実質、
Apple製品(😂)。
2021/12時点では「Beats Fit Pro」は日本国内で正式発売されていないので、事実上「AirPods Pro」か「AirPods Max」「AirPods (第 3 世代)」の3択だ。
"俺シアター"向けに新たに機器を購入する場合は、「AirPods (第 3 世代)」か「AirPods Max」がオススメ。
「AirPods (第 3 世代)」はインナーイヤー型ということもあって長時間付けていても疲れないが「AirPods Max」に比べると低音が弱く、例えるならシアターバーを設置したTVで家族に怒られない程度の音量で映画を見ている感覚に近い。「AirPods Max」はノイズキャンセリングのおかげで没入感が強く低音もド迫力なので映画館で見ているような感覚に近いのだが、側圧が強く重量も重いので長時間の利用は厳しい。
海外ドラマをメインに毎日長時間利用するような場合は長時間つけても痛くない「AirPods (第 3 世代)」、映画を1日1本程度であれば臨場感重視で「AirPods Max」というのが個人的なオススメになるが、「空間オーディオ」の臨場感は利用する配信サービスによって変わるので自分の用途にあわせて好きな方を選ぼう。
3. 動画コンテンツまたは配信サービス
同じくAppleのサポートページによれば「空間オーディオ」に対応している動画コンテンツまたは配信サービスは
- この機能に対応した App のオーディオビジュアルコンテンツ
まさかの
Appleしばりなし(😍)。
つまり、「空間オーディオ」に対応しているアプリ(App)で動画作品(オーディオビジュアルコンテンツ)を再生するだけで「空間オーディオ」を体験できるのだが、動画作品のオーディオ形式によって「空間オーディオ」の再生モードは異なり、再生モードによって臨場感が違う。
オーディオ形式 | 空間オーディオの再生モード | iPad | Apple TV 4K |
---|---|---|---|
2ch(ステレオ) | ステレオを空間化 | 対応 | 未対応 |
5.1ch,7.1ch | マルチチャンネル | 対応 | 対応 |
Dolby Atmos | ドルビー・アトモス | 対応 | 対応 |
- "ステレオを空間化"は2chを仮想的に変換して空間オーディオとして再生する機能
- 「Apple TV 4K」は"ステレオを空間化"に未対応(2021/12時点)
それぞれのオーディオ形式を空間オーディオとして再生した場合の臨場感はこんな感じ。
ドルビー・アトモス >>> マルチチャンネル >>>(越えられない壁)>>> ステレオを空間化
やはり"ドルビー・アトモス"は別格。ただ、"マルチチャンネル"もそこまで悪くなく普通に映画を楽しむ分には充分な臨場感を得られる。"ステレオを空間化"は、他と比較すると映像と音の方向が合っていないようなモヤっとした感じで正直臨場感よりも違和感のほうが強く感じる(TVの機能でステレオ放送をサラウンドにした安っぽいサラウンド感に近い)。今後改善される見込みもあるが、現段階はステレオはあえて空間化せずオリジナルの2chのまま再生したほうがコンテンツに集中できるかもしれない。
組み合わせがキモ
そんな訳で、"俺シアター"的に空間オーディオを堪能するには「iPad」または「Apple TV 4K」に「AirPods (第 3 世代)」または「AirPods Max」を接続し、この機能に対応した App上でオーディオ形式が「5.1ch,7.1ch 」または「Dolby Atmos」の作品を再生するのがオススメなのであるが、
”この機能に対応したApp”というのが
また曲者(😔)。
実際に「iPad」と「Apple TV 4K」に「AirPods Max」を接続して、”この機能に対応したApp”で同一作品を空間オーディオで再生しした場合の再生モードを調べてみた。
今回試した”この機能に対応したApp”
AppleTV+
「AppleTV+」はAppleの有料動画配信サービスの名称なのであるが、「AppleTV+」アプリは「iTunes Store」でレンタル・購入した動画作品の再生アプリとしても動作する。今回はiTunes Storeで購入した動画作品を再生。
オーディオ形式 | iPad | Apple TV 4K |
---|---|---|
Dolby Atmos | ドルビー・アトモス | ドルビー・アトモス |
流石、Apple謹製(😊)。
残念ながら5.1chの作品は持っていないので試せなかったが、Dolby Atmosが再生できるのだから問題ないだろう。
Amazon Prime Video
Amazonのプライム会員ならば、プライム会費だけで利用できる配信サービスなので一番利用者は多そう。これが空間オーディオで堪能できるなら幸せだろう。5.1chとDolby Atmosの2つの動画作品を再生。
オーディオ形式 | iPad | Apple TV 4K |
---|---|---|
5.1ch | ステレオを空間化 | マルチチャンネル |
Dolby Atmos | ステレオを空間化 | ドルビー・アトモス |
どうした... iPad(😱)。
「Amazon Prime Video」で殆ど提供がないDolby Atmos作品はどうでもいいとして、大半を占める5.1ch作品が「iPad」でマルチチャンネルで再生されないのは一体…
iOS端末(iPhone、iPad、iPod Touch)
- ストリーミング時の画質 - HDまで
- 音質 - ステレオ
- 字幕 - 可
- 音声の説明 - 可
- ライブストリーミング - 可(最新のPrime Videoアプリ)
- ライブでの予告編 - 可(最新のPrime Videoアプリ)
- チャンネルでの予告編 - 可(最新のPrime Videoアプリ)
- プロフィール対応 - 可
- サポートウェブサイト - https://support.apple.com/
なんと…iOS(iPadOS)だと「Amazon Prime Video」はステレオでしか作品を配信しないのであった。どうしてそんな地味に意地悪をするのだAmazon、これがGAFAのやり方か。
そんな訳で「Amazon Prime Video」メインの人は「iPad」よりも「Apple TV 4K」のほうが空間オーディオを堪能できる。 どうしても「iPad」で見たい場合は解像度もHD止まりなので一番安いiPadで充分だ。
Disney+
最近ようやく日本でも世界レベルの品質で映像配信が始まった。ディズニー作品には全く興味はないので正直マーベル作品しか見るものがないと思ってたのだが、旧FOXの「STAR」が追加され往年のFOX作品や「ザ・ウォーキング・デッド」も見れるようになっていて割と魅力的である。今回はDolby Atmos配信の最新話題作を再生してみた。
オーディオ形式 | iPad | Apple TV 4K |
---|---|---|
Dolby Atmos | マルチチャンネル | マルチチャンネル |
再生される映像は最高画質になってそうに思えるが、空間オーディオの再生モードは表示を見る限りではマルチチャンネルのまま…。
夢の国の外では夢は見れないってか(🐭)。
マルチチャンネルでも綺麗な映像のおかげで不満はないのだが、あのAmazon Prime Videoですらまともに対応している「Apple TV 4K」でのドルビーアトモス再生ができないのは残念すぎる。空間オーディオではなくAVアンプに繋いで再生する場合はドルビーアトモス再生されているという情報も見かけたので、恐らくはアプリの問題と思われるがDolby Atmos 配信作品も多いのでせめて「Apple TV 4K」だけでも改善されることを願う。
Netflix
番外編としてNetflix。未加入なので実際に再生確認はしていないが、ネットで情報収集した結果を元に記しておく。Netflixの場合は契約プランでオーディオ形式が異なる。
プラン | 最高画質 | オーディオ形式 |
---|---|---|
ベーシック | SD(480P) | 2ch,5.1ch |
スタンダード | FHD(1080P) | 2ch,5.1ch |
プレミアム | 4K+HDR | 2ch,5.1ch(7.1chも?),Dolby Atmos |
空間オーディオでドルビーアトモス再生を堪能するにはプレミアムプランの加入が必要だ。空間オーディオの再生は「iPad」でも「Apple TV 4K」でも変わらないようなので、"どちらでも良い"といいたいところなのだが…
iPad
モデル 解像度 iPad (第1世代) 480p (iOS 5) iPad 2
iPad mini (第1世代)480p (iOS 5、iOS 6)
720p (iOS 7以降)iPad (第3、第4世代) 480p (iOS 5、iOS 6)
1080p (iOS 7以降)iPad (第5、第6、第7、第8、第9世代)
iPad Air (第1、第3、第4世代)
iPad Air 2
iPad mini 2
iPad mini 3
iPad mini 4
iPad mini (第5、第6世代)
iPad Pro 9.7インチ
iPad Pro 12.9インチ (第1世代)1080p iPad Pro 10.5インチ
iPad Pro 11インチ (第1、第2、第3世代)
iPad Pro 12.9インチ (第2、第3、第4、第5世代)1080pハイダイナミックレンジ
iPhone、iPad、iPod touchでNetflixを利用する方法
残念ながら、プレミアムプランに加入しても「iPad」では最高峰の「iPad Pro」であっても4K画質を楽しむことはできない。画質も堪能したければ「Apple TV 4K」が良いだろう。逆に「iPad」で程々に楽しむのであればスタンダードプランで充分かもしれない。
まとめ
そんな訳で、空間オーディオの臨場感は再生機器と実際に利用する配信サービスによって随分違うので、自分の利用するサービスや求める品質に適した構成を選ぶのがオススメだ。
カジュアル”俺シアター”
いつでもどこでも気軽に空間オーディオを楽しみたいという人向け。
- 「iPad(第 9 世代)」
- 「AirPods (第 3 世代)」
画質はFHD止まりでHDRも堪能できないが、空間オーディオはAmazonPrimeVideo以外はマルチチャンネルで再生できるので大抵の人はこれで十分だろう。もう少し画面が大きいほうがよいと言うことであれば「iPad Pro」の12.9インチモデルを視野に入れるのもアリだが、動画再生以外の用途で使うつもりがないのであれば高価な最新モデルを購入しても宝の持ち腐れなので第3世代か第4世代のApple整備品が価格的にもオススメだ。
iPad整備済製品 - 12.9インチiPad Pro - Apple(日本)
ろくに調べもせずに勢いで最新モデルを購入してしまった人間の発言、信用して欲しい。
本格”俺シアター”
本格的な映像と空間オーディオを堪能したいという人向け。
- 「Apple TV 4K」
- 「AirPods Max」
空間オーディオに対応する殆どの配信サービスでフルスペックの画質と空間オーディオで楽しむことができる。「Apple TV 4K」を接続するモニター(TV)を既に保有している場合、初期コストも抑えられるのも魅力。
リモートワーク用にPCモニターを購入しようと検討している場合はプライベートでも活用できるので一石二鳥だ。
勿論、プロジェクターと接続して大画面で楽しむ事もできる。
なお、「AirPods Max」を含むAirPods製品はファームウェア更新が定期的に行われるのだが、更新にはiPhoneかiPadかiPod touchが必要らしく、「Apple TV 4K」単体でできるかは不明だ。なので...
ついでに iPhoneも買っちゃお?(🍎)。