ヘッドホンアンプ「Drop + THX AAA One Linear Amplifier」を試してみた。
驚異の「THX-AAAテクノロジー」を試してみたくてポチりました。
「ヘッドホンアンプ」とは
CDプレーヤー等の音楽プレーヤーとスピーカーの間に接続するアンプを「プリメインアンプ」は呼ばれる。 同様に、音楽プレーヤーとヘッドホン/イヤホンの間に接続するアンプを「ヘッドホンアンプ」と呼ぶ。ヘッドホンアンプは、ヘッドホン/イヤホンが挿せる機器なら内蔵されているので、別に用意しなくても音楽は聴けるのだが、音質向上を求めていくといつかは欲しくなってしまうアイテムなのだ。
アンプは音声信号を増幅する為の装置なので、音質が必ずしも増幅前と同じになるとは限らない。むしろ製品によっては、意図的に音質に味付けを施して製品のウリにしている場合もある。そんな訳でいくら評判が良いヘッドホンアンプでも、自分の所有機材と組み合わせた場合にどんな音が聞こえてくるのかは正直予測が難しい。むしろ導入前の音質のほうが好みでしたという残念な結果につながる可能性も低くはないので、ヘッドホンアンプに高いお金を投入するのはなかなか勇気がいる行為だ。
「THX-AAAテクノロジー」とは
映画の音響で有名な米国THX社*1が技術開発したオーディオアンプ用技術で、正式名称は「THX-AAA(Achromatic Audio Amplifier)」。その特徴は、
THX-AAAの大きな特長は、低ノイズ、低歪み、そして低消費電力だ。特に歪みという点では、フィードフォワード技術を採用することで他とは文字通り桁違いの低歪みを達成しているとのことだ。増幅においては一般的なAB級よりもバイアス電流が少なくて済み効率が良い、つまり省電力という側面もある。
Benchmark「HPA4」レビュー。鳴らしにくいヘッドホンも朗々と鳴る「THX-AAA」ヘッドホンアンプ (2/3) - PHILE WEB
このように「THX-AAAテクノロジー」は低ノイズ、低歪みをウリとしているので搭載ヘッドホンアンプは、意図的な味付けはせずむしろ原音に近いクリアな音質をウリとしている印象がある。
THX AAA - The world’s Most Linear Amplifier Technology
つまり、「THX-AAAテクノロジー」を搭載したヘッドホンアンプを導入すれば、従来の音質はそのままにヘッドホンの性能を出し切ってさらなる高みに連れて行ってくれそうな気がしませんかね。
「THX-AAAテクノロジー」搭載ヘッドホンアンプ
てな訳で、「THX-AAAテクノロジー」搭載ヘッドホンアンプが前から気になっていたのだが、現在市場に出回っているのはバランス接続をウリにしたヘッドホンアンプばかりで、最近はアンバランスで音楽を楽しみたい派の自分としてはあまり触手が動かなかったのだが、米国の共同購入サイト「Drop(旧Massdrop)」でアンバランスなTHXヘッドホンアンプが売られることを知った。
価格も「$199」とヘッドホンアンプとしては安い部類。日本への送料が約$15かかるものの、合わせて$215程度だったので、酔った勢いでポチった。
購入~到着
購入したのは2月末だが、その時点で出荷は3月上旬と知っていたのでしばらく放置していたら3月上旬に発送通知が届く。10日程で自宅まで到着。引き渡し時に関税はとられなかった。
途中「JAMAICA NY INTERNATIONAL DISTRIBUTION CENTER」に向かったので一瞬”JAで始まる国間違いジャマイカ?”と思ってしまったが実はNYでした。
開封の儀
外箱から取り出した中身(流石にアメリカでもそれ位配慮するのだとちょっと感動)。
値段の割にはちゃんと梱包されていた。
付属品は他にアンプ本体を収納できる布製の袋。
ACアダプターはソケット部分が取り外し可能なタイプ。
聴いてみた
以下の環境で聴いてみた。
構成 | 機材 |
---|---|
音源 | TIDAL(TIDAL HiFi) |
トランスポート*2 | ”Raspberry Pi 4 Model B" + "Allo DigiOne Signature" |
DAC | RME ADI-2 DAC FS |
AMP | Drop + THX AAA One Linear Amplifier |
ヘッドホン*3 | FOSTEX TH909 |
まず初めに感じた印象は
導入前と音の傾向は全く変わらんな。
明らかに高音が伸びたとか、中低音の腰が低くなってズッシリした音にとかそういうの全くなし。驚異の「THX-AAAテクノロジー」だ。 しいて言えば、こころなしか導入前に比べて出音に余裕があるような気がしないでもない。
ゲインを色々と変えて試してみた感じでは自分の環境だと「Ⅰ」よりも「Ⅱ」がしっくりくる、ような気がする。
導入前と同じく「RME ADI-2 DAC FS」に直接ヘッドホンを接続して内蔵ヘッドホンアンプで聴き比べてみたところ、正直明確な違いは感じられない。強いて褒めるならば、"(機器が2段構成になったので)強そう"とか、"マットな質感がいいよね"とか見た目で満足できる所は多分にあるのだが、音質で語れと言われると難しい。それ位導入前後での違いがはっきりわからない…。
何度も何度も、ヘッドホンを差し替えて聴き比べてみたのだが、やっぱりそこに明確な差は感じられない。それだけ「RME ADI-2 DAC FS」内蔵のヘッドホンアンプの性能がいいということだろうか*4。くわえて「Drop + THX AAA One Linear Amplifier」も良くも悪くも無味無臭なのでアンバランスで聴く限りではそこまでの変化が聴き取れないのであろうか*5。なんだろう、
慰めるのやめてもらっていいですか。
やはり、さらなる高みにはバランス接続しか道はないのだろうか…
*1:スター・ウォーズでおなじみジョージ・ルーカスによって創業された会社
*2:OSは「piCorePlayer」でLMS経由で再生
*3:ケーブルはオーダー製作して貰ったやつにリケーブルしている
*5:測定結果が絶賛されている"Topping L30"を繋いで見た時も自分的には明確な音質の違いは感じられなかった